2013/08/02

KENDRICK LAMAR LIVE @ FUJI ROCK FESTIVAL 2013


こんにちは。
先日、フジロック・フェスティヴァルにてケンドリック・ラマーのライブを観て来ました。
子細なレポートはYAPPARI HIPHIOPにアップされるだろうと思ってたんだけど(他力本願)、やっぱり自分でも文章に残さなきゃ!と思ってブログにしたためようと思った次第です。

フジロックへは初めての参加。
基本的に、フェスでのアーティスト公演はあまり好きではなくて、「どうせ観るなら単独公演で!」と意固地になるタイプなんですが、ケンドリックが一番ホットな時期に日本でライブが観れるなんてもう無いかも!と思って、フジ行きを決めました。

ケンドリックの前のアクトが終わったあと、会場であるホワイトステージの最前列に移動したわけですが、よく考えたら誰かのライブ(知り合いのクラブ・ライブなんかは別として)を最前列で観るのも初めてだ、と気付きました。これまでにファンクラブに入ったりとかツアーの追っかけしたりとか、とにかく特定のアーティストや歌手、タレントに肩入れして応援するということがありませんでしたので…(さみしいね…)。
ライブ直前の、アーティストが出てくるまでの高揚感も久しぶりに味わった気がする。

でもって、わくわくしながら待っている間、ケンドリック・ライブに備えて舞台の転換が行われるわけなんですが、ドラム・セットが前にせり出してきたり、舞台のサイドからキーボードが運ばれてきたり…「も、もしかしてバンドセットなのか!?」と、かなり興奮。結果、シンセ2台にキーボード、ドラム、ベース、ギター、DJのフルバンド・セットでした。このステージと同じ組み方だと思います。

  
そして、いよいよケンドリックの出番の時間が近づいてくる…にも関わらず、一部機材の調子が悪かったらしく、ケンドリックが登壇したのは予定より15分程度遅れた頃。バックDJのアリ氏(アッキーに教えてもらた)が「Put Your 3s Up In The Air!」と煽っていたので、てっきり”HiiiPower”で出てくるか!?と思ったんですが、 The Art of Peer Pressure”のイントロに続き、 m.A.A.d city”の後半パートをラップして登場。意外だった!
ケンドリックは白いTシャツの上に、コンビ二で500円で売ってそうな半透明の雨合羽を着てお目見え。きゃわたん…!!!
以前、海外アーティストをアテンドしたときにいわゆる日本の「ビニ傘」をものすごく珍しそうに見ていた&欲しがっていたので、あまり雨の降らないLA出身のケンドリックには、日本のコンビニエントなカッパがクールに映ったのかもしれません。安物の雨合羽も、ケンドリックが身に纏うと、なんだか神聖なローブのように見えるから不思議です。

そのあと、”Backseat Freestyle”をパフォームするんだけど、しょっぱなの「Martin had a dream…」からガンガン客席に歌わせるスタイル!もちろんその後のトリッキーな「All my life I want money and power / Respect my mind or die from lead shower」のラインも。興奮してるし、マジで酸欠状態になりそうでした。どうでもいいけど「エッフェル・タワー」の発音、難しー!
初期の作品”P&P”(フックは「Pussy and Patron make you feel alright」♫)を経て、ASAP・ロッキーへの客演曲”Fuckin’ Problems”へ。もちろん、自分のヴァースしか演らないんだけど、フック➡ケンドリック・ヴァース➡フック&煽り➡ケンドリック・ヴァース(全く同じヴァースを2回!)と、ヒトの曲ながら自分のヴァースを2回繰り返していて可愛かったな。

基本的に、ケンドリックはアメリカ(もしくは英語圏)でやっているライブと同じ様に、オーディエンスにフックなどを歌わせる=参加させるパートが多かった。私は最前列で観ていたので後ろの方のオーディエンスの方達が参加出来ていたかは分からないけど、やっぱり非英語圏だと難しいよね。その点、ケンドリックのあとにパフォームしていたジュラシック5なんかは英語の通じない(ことの多い)日本でも、がっちり客席を盛り上げる術を知っていてさすがだなと思った次第です。

その後、またアルバム『Good Kid, M.A.A.D City』 の世界に戻っていくんだけど、やはり生で聴く”Bitch, Don’t Kill My Vibe”はぐっと来るものがあったな。”Poetic Justice”もそうだけど、ケンドリックはどんなことを考えながらラップしてるんだろう、みたいなことがず〜っとぼんやり頭の中を巡っていた。ステージの上で、ライムを紡ぎながら彼の脳内にもリリックと同じような情景が浮かんでいるるのかな。
LAに戻りたいやつー!?」とのMCのあと、ケンドリック的LA讃歌”The Recipe”へ。ケンドリックの「Woman Weed, Weather…」の声を聴きながら、「ケンドリック、初めての日本でのライブの感想はどんな感じかしら」、と思っておりました。”The Recipe”で少しレイドバックしたあと、”Real”を確か1ヴァース&1フックだけ歌ってから、初盤に披露した”m.A.A.d city”を今度はアタマからパフォーム。自分の地元を歌った曲が続いたせいか、ケンドリックはここで一番エモーショナルになっていた感じがした。スクールボーイ・Qヴォイスの「YAWK!YAWK!YAWK!YAWK!」ではテンションもブチ上がり!

最後は予想通り”Swimming Pools(Drank)”で〆。ステージ上のライトが全て紫色になっていたのは偶然か。お約束の「Drank!」の合唱、気持ちよかったです。同時に私の高揚感もマックスだったな。そして、ちょっとびっくりしたんだけど無音のままフリースタイルへ。しかも結構なライン数をスピットしてくれていた。リリックの中にマルコムXやらの名前が出て来たのは覚えてるんだけど、具体的な内容は忘れてしまった、というかちゃんと聴き取れなかった…(ヘタレ)。最後のラインは「I’ll Be Back」の一言で締めてくれました。その後、スパっとステージを去るケンドリック。あれ?HiiiPower演ってないし、アンコールあるのかな?と期待したものの、そのままケンドリックは終演となりました。
やー。
魂抜かれた…
って感じでした。

正直、最前列の真ん中で観るとモニターの聴こえ方のバランスも悪いし、全体的な盛り上がり方が見えないから、冷静だったら途中から離脱してちょっと後ろの方でじっくりと堪能したかった、という思いもあったのですが、ライブ中はそんなことは思いつきもせず、ただひたすらケンドリックの姿を眼で追う、という感じでした。
もちろん前の方のオーディエンスは盛り上がっていたし反応もいいと感じたんだけど、実際後ろの方はどうだったんだろう?裏のメインステージではビョークがライブを行っていましたから、ビョークを捨てて(失礼な表現すみません)ケンドリックを観に来てるのは、皆さん相当コアなファンなのかなあと感じました。
あと、歌詞の中で一カ所、地名を「Japan」に置き換えてくれてたところがあったんだけど、どの曲だったか忘れた…。

日本って、フレッシュなアーティストよりもレジェンド級の来日アーティスト公演の方が盛んなイメージで、ナズとかスミフン・ウエッスンとか、レジェンダリーなアーティストのライブだと「ああ、この人たちがニューヨークでヒップホップ文化を築き上げてきた功労者なのか…ッ!」と胸が熱くなってしまうんですが、ケンドリックの場合は「今、世界中で最もフレッシュで才能溢れるラッパーがコイツなのか…ッ!!」と実感し、一人で勝手に感動しちゃいました。苗場まで行ってよかったです、ほんとに。ケンドリック、全くひるむことなく堂々とパフォームしていたし、バンド・セットをバックにラップする様子も何だかサマになっている感じでした。つっても彼のライブを観たのは初めてだから比較しようがないんだけど。

ケンドリックの生パフォーマンスはとても丁寧な感じがして、ラップすることに対してとても真摯な姿勢を伺えたように思えます。贅沢を言うならば、もう少しエモーショナルになる箇所があってもいいかなと思った。でもそれはきっと、オーディエンスも含めた周りの環境もあるんでしょう。結局アルバム『Section 80』lからの曲はパフォームしなかったんだけど、それはライブの開始時間が少し押したせいなのか、日本という異国の地だからなのか…。私は同アルバムに収録された"Fuck Your Ethnicity"が聴きたかったのですが、これはいつかアメリカにケンドリックを観に行ったときに聴きたいな。
ともあれ、次は彼のホームタウンでライブを観てみたいなあ、と強く強く思った。彼のクルー、TDEメンバーが揃うステージも観てみたいです。

じっくりとケンドリックのラップ・パフォーマンスに耳を傾けることによって、改めてヒップホップはリリックを聴かせる音楽なんだ、と感じました。もちろん私も英語が堪能なわけではないしフリースタイルもろくに聴き取れないくらいなんだけど、先輩達が初めて日本でLL・クール・Jやパブリック・エネミーらのライブも観たときも、きっとこんな感じだったのかしらん…と思ったのです。


-----------

今回、ケンドリック・ラマーを観にフジロックに行くにあたり、DJ Airtimeくんエア子ちゃんYAPPARI HIPHOPキーボー部長、そしてYAPPRI HIPHOP総裁・アッキーに非常にお世話になりました。参加させてくれて、本当にありがとう。とくにアッキーのケンドリック愛は海よりも深く、富士山よりも高かったです。行きの車の中では、アッキー自作の予習キットで練習もバッチリでした。あと、会場ではオムスビーツ君にも会いました。
いやー、ライブって本当にいいですね。
日本でも、バンドセットでライブを披露してくれるラッパーがもっと増えるといいなーとぼんやり感じました。



(setlist.fmに飛びます)